2012年9月24日月曜日

乱読のすすめ64-制服の詩人

北原白秋
(1885-1942)











   『からたちの花』 1924年
   からたちの花が咲いたよ。 白い白い花が咲いたよ。…
   からたちのそばで泣いたよ。 みんなみんなやさしかったよ。

   『紀元二千六百年頒』 1941年
   ああわが民族の清明心。正大、忠烈、武勇、風雅、廉潔の諸徳。精神は一貫する。
   伝統は山河と交響し、臣節は国土に根生ふ。大儀の国日本、日本に栄光あれ。…
   大政翼賛の大行進を始め。行けよ皇国の盛大へ向かって、世界の新秩序へ向かって、
   人類の 福祉に万邦の融和に向かって…。

   どちらも、北原白秋の作品です。
   抒情詩人と戦争翼賛詩人の両面をもつ白秋。 しかし、白秋だけでなく、当時の日本国民のなかに「抒情」と「翼賛」は自然に同居していたのではないか。中野敏男さんは近著「詩歌と戦争」(NHKブックス)のなかで、戦争に向かって進んだ民衆の同時代的経験と「責任」を問いかけます。

2012年9月21日金曜日

絵本のすすめ53-おかめ列車


さく いぬんこ 長崎出版














   NHK教育テレビのこども番組ではおなじみ、イラストレーターいぬんこさんの絵本。
   こういう絵とおはなしを描ける人がいたんだ!
   昭和生まれのいちびり関西人としては、まことに惹きつけられてしまいます。

2012年9月18日火曜日

乱読のすすめ63-ピエドラ川のほとりで私は泣いた

訳・山川紘矢・亜希子 地湧社














   “  ピエドラ川のほとりにすわって、私は泣いた。この川の水の中に落ちたものは、木の葉も虫も、鳥の羽さえ、岩に姿を変えて、川底に沈むと言い伝えられている。心を胸の中から取り出して、流れの中に投げ込めるものならば、恋もこの苦しみも終わって、私はすべてを忘れることができるだろうに。 ”
  ブラジルの作家、パウロ・コエーリョは『ピエドラ川のほとりで私は泣いた』で、ひとりの女性の愛の選択と神の再発見を、スペイン北部の風景のなかで詩的に描きだしました。

2012年9月14日金曜日

乱読のすすめ62-あさのあつこさんの時代小説

映画「バッテリー」 原作あさのあつこ









   池波正太郎の「娯楽性」、藤沢周平の「凛々(りり)しさ」、司馬遼太郎の「人間劇場」…いい時代小説は、時空を超えて心に響くものがあります。
   それは作家の腕前だけでなく、時代小説という現代と距離をおいた「舞台装置」が、余計な雑念を取り払い、人間の悪や正義や哀しみをより純化し、より増幅して映し出すからかもしれません。

   ところが最近の時代小説はどうもつまらない。そもそも人間の描き方が浅いせいか、せっかくの「舞台装置」を通しても、なんの増幅効果もうまない。べつに時代小説にしなくても、現代小説でも私小説でもいいのではないか。それとも、歴史ファンを取り込むことだけが目的なのか。
   そんな失望感を吹き飛ばしてくれたのが、あさのあつこさんの時代小説でした。

2012年9月12日水曜日

じじ放談12-オスプレイ配備も三党で

左・じじん党乙川議員
右・みんし党甲山議員









   みんし党・甲山議員
   「このまえ本会議で居眠りしてたら、怖い夢みたでえ」
   じじん党・乙川議員
   「なんや、奥さんが夢にまで出てきたんか」
   みんし党・甲山議員
   「それも怖いけど、ちゃうねん。オスプレイに乗って遊んでたら、突然、墜落。お陀仏や」
   じじん党・乙川議員
   「あんな危ないもん、夢でも乗ったらあかんがな」
   みんし党・甲山議員
   「日本に運んでくるときも、落ちたら危ないから、船で運んできたもんな」

墜落事故くりかえす米軍新型輸送機オスプレイ








2012年9月4日火曜日

絵本のすすめ52-パパが宇宙をみせてくれた
















   離れ離れにくらす父と子のせつなさを描いた名作「パパはジョニーっていうんだ」(絵本のすすめ24で紹介)。その絵を担当したのは、スウェーデンの人気イラストレーター、エヴァ・エリクソンです。
   エリクソンの絵をとおすと、悲しい出来事も、遠い過去の思い出のように、まあるく心に収まります。
   「パパが宇宙をみせてくれた」(ウルフ・スタルク作・BL出版)は、大好きなパパに宇宙のすがたを教えてもらう息子のお話。

2012年9月1日土曜日

「それでも日本人か」

安田浩一(講談社)










   野田総理問責決議案が可決された8月29日の参議院本会議。
   問責決議に先立って、竹島・尖閣 「上陸非難」2決議が、民主、自民、公明、みんな、生活などの賛成多数で議決。日本共産党は反対しました。
   わが党は、尖閣諸島は「日本の領有権は歴史的にも国際法上も明りょう」という立場。竹島についても、「日本の領有の正当性には根拠がある」という見解をすでに1977年に発表しています。ただ、竹島問題を解決するうえで、過去の植民地支配の根本的な清算を日本側がしっかり行うことが大事だと考えています。
   領土問題は、歴史的事実と国際法上の道理にのっとり、冷静な外交交渉によって解決をはかるべきであり、感情的な対応をエスカレートさせることは双方が自制すべきという立場から、今回の「決議」には反対しました。

   ところが、その本会議場で、自民党議員の一人が、わが党の席にむかって、「それでも日本人か、(反対なら)韓国へ行け」というヤジ、暴言をとばしました。ふだんはとても大人しい中堅議員です。私がにらみ返すと、下を向いてしまいました。

2012年8月24日金曜日

乱読のすすめ61-裸の実存















  第2次世界大戦中、ナチスの強制収容所で妻を殺され、自らも生死の境をさまよった、ウイーンの精神病理学者ヴィクトール・フランクル。フランクルの『夜と霧』は、世界的なベストセラーとして、いまも読み継がれています。この本のなかで、フランクルは、人間はどんな極限状況に追い込まれても、「生きる意味」をもち続けることが重要であり、それが最後に生死をわける決定的な要因になると述べています。

   戦後、フランクルは、「平和な時代にいるのに、生きる目標を見失う」という、新たな精神の問題にも取り組みました。フランクルの講演集『それでも人生にイエスと言う』(春秋社)は、現代人に「裸の実存」にもどるようよびかけます。

2012年8月22日水曜日

絵本のすすめ51-ちょいワル男は なぜもてる

ジャック・ガントス作 ニコール・ルーベル絵













   あくたれねこの ラルフは セイラの ねこでした。
   あくたれでも、セイラは、ラルフが すきでした。

2012年8月20日月曜日

乱読のすすめ60-自らを罪するの弁


絵 あべ弘士










   日本が敗戦をむかえた1945年の8月23日、朝日新聞は「自らを罪するの弁」という社説をかかげ、国民に真実を伝えず戦争に突入させた責任について謝罪しました。
   さらに同年11月7日には「国民と共に起たん」という社告を出し、今後は「国民の機関」としてはたらくと宣言しました。あれから67年…。

2012年8月18日土曜日

絵本のすすめ50-ゴッホ 風がはこんだ色彩

キアーラ・ロッサーニ作(西村書店)














   37才という若さで生涯をとじた天才画家ゴッホ(1853年~1890年)。ゴッホには、テオという仲のいい弟がいて、ふたりはたくさんの手紙のやりとりをしました。
  絵本「ゴッホ 風がはこんだ色彩」は、残された手紙をもとに、兄弟の深い愛情ときずなを描いた物語です。

2012年8月13日月曜日

映画のすすめ15-ドブネズミみたいに 美しくなりたい

     韓国の若手演技派女優 ペ・ドゥナ











  1995年に解散した伝説のロックグループ「ザ・ブルーハーツ」の名曲、「リンダリンダ」。

“ ドブネズミみたいに美しくなりたい   写真には写らない美しさがあるから
  リンダ リンダ リンダ リンダ リンダ…”

2012年8月8日水曜日

絵本のすすめ49-ゆくえふめいのミルクやさん

童話館出版















   だれだって、ときには、ゆくえふめいになりたくなる。

   まい朝、まい朝、四時におきて、町中のおくさんがたに、ミルクとチーズをとどけるミルクやさんが、あるとき、なにもかもいやになって…。
 

2012年8月2日木曜日

乱読のすすめ59-四つの幸せ

絵 鈴木周作











   神奈川県川崎市のN工業は学校などで使う「チョーク」をつくる会社です。
   いまから50数年前、専務だったOさんは、ある養護学校の先生から、知的障害をもつ二人の少女の就職をたのまれます。最初は断ったOさんですが、先生の熱意に押され、仕方なく雇うことにしました。

2012年7月31日火曜日

天敵、竹中平蔵


絵 あべ 弘士














   昨日、友人が、「竹中平蔵氏が、ツィッターで、大門さんのことを話していたよ」と教えてくれました。
   家に帰ってグーグルの検索で見つけたのが、10日ほど前の竹中平蔵さんの「つぶやき」。
“ 参議院の委員会で共産党の大門氏が『増税のまえにやるべきことがある・・』ではなく、『やるべきことをやれば増税は必要ない・・』、と述べた。大門氏と私では『やるべきこと』の中身は違っているが、『今回の増税必要なし』はまことに正しいと思う。大門氏と参院で論戦したことを懐かしく思い出した。 ”

   わたしも、竹中さんが小泉内閣の「看板」大臣だったころを思い出し、懐かしくなりました。

2012年7月27日金曜日

絵本のすすめ48-わたしのて

ジーン・ホルゼンタ―ラ―作(童話館)












わたしのては、こんなことが できます
ボタンを とめる ひもを むすぶ
ブラシや くしを もつ
てをならし おんがくを かなでる
えをかく きる …

2012年7月23日月曜日

乱読のすすめ58-目標の方角にむかい、その姿勢で倒れよ















   先日、高知の経済懇談会に招かれ、県の部長さんや商工会連合会、森林組合など多彩な方々と一緒に話をさせてもらいました。
   高知といえば、やっぱり坂本竜馬。司馬遼太郎さんの「竜馬がいく」(文春文庫1~8)もおもしろい。8巻までくると、「竜馬、死なないで!」と祈りながら読んでしまいます。

   この本のなかにある、龍馬の言葉が好きです。
   " 世に生を得るは事を為すにあり  "
   " 業なかばで倒れてもよい。そのときは目標の方角にむかい、その姿勢で倒れよ  "
 
   業なかばにも行ってないのに、かんたんに方角を変えてしまい、けっきょく倒れかけている、いまの民主党に捧げたい。
   もっとも、民主党にそもそも為しとげたい業などあったのか定かではありませんが。

2012年7月17日火曜日

乱読のすすめ57-君たちはどう生きるか

京都 大原三千院 わらべ地蔵










   野田総理は原発再稼働、消費税増税など国民の嫌がることを決めて、それが「決められる政治」だと自分に酔いしれており、ちょっと病的です。
  自民党の谷垣さんも人びとのくらしより自民党の復権に躍起。しかし政治屋のボスにはむかず、ケンカと握手のタイミングがわからなくなって支離滅裂状態。
   野田さんも、谷垣さんも財務大臣経験者。委員会でなんども議論したので性格はよく知っています。お二人とも実直な方でしたが、最近はどうもおかしい。もう少し落ち着いて自分を見つめてもらいたい。

   そんなお二人に読んでほしいのが、高校生のときに読んだ吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」です。

2012年7月15日日曜日

絵本のすすめ47-ごえんがあったらまたね












   人と人とが友だちになったきっかけを思うと、本当に不思議。
   佐野洋子さんの「さかな1ぴきなまのまま」(フレーベル社)は、友だちをさがしに旅にでるねこのおはなしです。けっきょく、友だちになったのは、あまり好きでなかったへびさんでした。

   佐野さんの「あとがき」も、すてきです。

2012年7月9日月曜日

消費税も金利もあげる? 動きだすサラ金議員たち










   先月末、国民の多数が反対しているにもかかわらず、民主、自民、公明の三党が合意し、消費税の増税法案を衆院で可決しました。同時に可決された「社会保障制度改革推進法」も、国民の自助努力を強調し、国の社会保障にたいする責任を放棄するもので、小泉内閣時代の社会保障の連続改悪路線への逆戻りに他なりません。
   しかし小泉政権のときは消費税の増税はありませんでした。3党が合意したのは、社会保障の連続改悪と消費税増税をセットで行うという最悪のシナリオ。3党談合政治は、あの悪名高い小泉政治よりさらに危険です。
   ただ、政治を動かすのは、結局、国民世論。「いまは増税すべきでない」をふくめ反対が7割、8割ともなれば採決強行などできなくなるでしょう。反対世論をもっと広げ参院で廃案に追い込むために頑張り抜きたいとおもいます。
  
   こういう消費税問題のドサクサにまぎれて、サラ金業界の意向をうけた民主党、自民党の一部の国会議員が、利息制限法の制限金利をなんと年30%に引き上げるための議員立法を、今国会に提出しようとしています。

2012年7月5日木曜日

絵本のすすめ46-あのときすきになったよ

「あのときすきになったよ」(教育画劇)












   小学生のころ、学校でおもらしをして、まわりの子どもたちからいじめられたことはありませんか? 
   絵本「あのときすきになったよ」(作・薫くみこ、絵・飯野和好)は、おもらしばっかりして、みんなに「しっこ」という名まえにされちゃった「まりか」と「ゆいこ」の友情物語。

   さいしょはけんかしていたふたりですが、だんだんなかよしに。そして、「ゆいこ」がおもらしをしてしまったとき、「まりか」は花びんのみずをまきちらして、ばれないようにしてくれました…。

2012年7月2日月曜日

小沢流の怪しさは

栃木県 奥日光・戦場ヶ原 
湯川ぞいに咲くレンゲツツジ









   本日、 民主党小沢グループのうち、衆院議員38人、参院議員12人が離党届を提出。 民主党が分裂しました。

   午後4時すぎ、参議院議員会館12階の男性トイレ。民主党の重鎮で大臣経験者のAさんと、離党届を出した岩手県出身のYさん、そして私の三人が一緒になりました。

2012年7月1日日曜日

絵本のすすめ45-いぬも あつけりゃ ぼうっとする











   関西弁の「いちびる」の意味は、「ふざける」「調子にのって、はしゃぐ」。その名詞形である「いちびり」は、「お調子者、目立ちたがり屋」などと、ネット辞書などでは説明されています。
   しかし、それだけではどうもニュアンスが伝わっていない。京都うまれのわたしの勝手な定義では、「みんながまじめな顔で話をしているときほど、冗談をいいたくなってしまう、どうしよもない、あまのじゃくな性分」「おもろかったらええやんけというお笑い至上主義」といった感じ。
   大阪出身の絵本作家、長谷川義史さんの「いろはのかるた奉行」(講談社)は、まさに関西人いちびり絵本です。

2012年6月29日金曜日

東京新聞をみならえ










   水曜日のブログをみて、東京杉並区のWさんから、つぎのようなメールをいただきました。

   「本当に朝日新聞の転落ぶりは著しく、反面、東京新聞の活躍が目立ちます。先日、脱原発宣言のつどいがあり、福島の方のお話の中に取材にきたという東京新聞の記者の方の話がありました。原発関連の意思表示を明確にしているため広告が減っているが、信念にもとづいてこれからも記事を書いていく…と。会場いっぱいの拍手でした」

   そうなんです。東京新聞は、消費税問題でも国民の立場を忘れていない。

2012年6月27日水曜日

天に声あり、人をして語らしむ











   朝日新聞のコラム「天声人語」は、かつては名文が多く大学入試によく出題されるとのことで、受験生の頃よく読んだものでした。
   天声人語の意味は、「天に声あり、人をして語らしむ」とのこと。しかし最近は、ほんとうに「天の声」なのか、ただの大新聞の独善ではないのかと、首くびを傾(かし)げることが多い。

2012年6月25日月曜日

乱読のすすめ56-余生ではない新たな生へ

与謝野晶子
(1878-1942)











   “ やわ肌の あつき血汐にふれも見で さびしからずや 道を説く君 ”

   明治34年、女性の奔放な情感をうたいあげた与謝野晶子の歌集『みだれ髪』は、世の中に大きな衝撃をあたえました。

   近代以降の短歌に、はじめて「恋愛」を位置づけた『みだれ髪』。斎藤茂吉は『みだれ髪』を、「早熟の少女が早口にものいうごとき歌風であるけれども…みなこの歌集の出現に驚異の眼をみはったのである」と絶賛しています。
   なにが衝撃的なのか。それは、きれいごとではない、ありのままの生のすがたを表現したからでしょう。

   その斎藤茂吉も、晩年の歌集『つきかげ』で、それまであまり歌に詠まれなかった老人のありのままのすがた、おもいを歌にしました。
   “ 欠伸(あくび)すれば 傍にいる孫真似す 欠伸というは善なりや悪か ”

   老いてますます伸びやかに、余生ではない新たな生へ…小高賢「老いの歌」(岩波新書)は、短歌をとおし、高齢化時代の生き方をかんがえます。

2012年6月22日金曜日

じじ放談11-信念やないで、おんねんやで

じじん党乙川議員とみんし党甲山議員








   じじん党・乙川議員
   「やあ、甲山議員。ワシの新しい選挙ポスター見て見て、なかなかええやろ 」
  みんし党・甲山議員
   「ほう、えらい若う、写ってるな」

2012年6月18日月曜日

絵本のすすめ44-カラス笛を吹いた日











   作家ロイス・ローリーが、多感な少女時代の自分と父との思い出を、詩情ゆたかに描きだします。

   だぶだぶのウールのシャツの下で膝をかかえこんで、リズは小さな声でささやいてみる。
   「父さん、父さん。」
   父さんって言うのは初めてみたい。
   戦争に行って、長い間、家にいなかった父。
   「父さん。」と、気軽に呼びかけることさえできない娘。
   そんなふたりはいっしょにカラス狩りにでかけます。
   リズはカラスを呼ぶカラス笛をもって、そして、父は、銃をもって―

2012年6月15日金曜日

絵本のすすめ43-はせがわくん きらいや















   ぼくは、はせがわくんがきらいです。はせがわくんと、いたら、おもしろくないです。なにしてもへたやし、かっこわるいです。はなたらすし、はあ、がたがたやし、てえとあしひょろひょろやし、めえどこむいとるかわからへん…。

   長谷川集平作「はせがわくんきらいや」(復刊ドットコム)は、昭和30年ころにおきた「森永ヒ素ミルク事件」を題材に、作者自身の実体験もまじえた絵本です。

2012年6月12日火曜日

絵本のすすめ42-ドオン!












    山下洋輔・文、長新太・絵の「ドオン!」(福音館書店)は、人間はけんかするより共鳴したほうが楽しいぞ、という明るいおはなし。

   オニの子ドンも、にんげんの子こうちゃんも、たいへんないたずらもの。
   あまりのひどさに、ふたりともおとうさんに「でていけ!」と、家をおいだされます…。

2012年6月11日月曜日

乱読のすすめ55-破局の悪夢②

映画「ソフイーの選択」









   大澤真幸さんの「夢よりも深い覚醒」(岩波新書)には、映画「ソフィーの選択」(1982年)の話がでてきます。
   ポーランド人でレジスタンスの活動家とつながりのあったソフィー(メリル・ストリープ)は、ナチスに逮捕され、二人の子どもとともにアウシュヴィッツの収容所に送られます。
   彼女はそこで、ナチスの将校に「二人の子どもにうちどちらか一人だけ生かしてやるから、選べ」と迫られます。選ばれなかった子どもはガス室におくられるのです。

2012年6月8日金曜日

乱読のすすめ55-破局の悪夢①

大澤真幸さん


   「核には反対だが賛成だ」―そんな矛盾した論理構造が、原発だらけの日本をつくり、事故後も脱原発に踏み切れないというていたらくを招いているのでは…社会学者、大澤真幸さんの新著「夢よりも深い覚醒へ―3・11以降の哲学」(岩波新書)は、日本人の倫理性という角度から鋭く問いかけます。

2012年6月7日木曜日

じじ放談10-計算どおりにはいかへんで


乙松(左)と甲太郎(右)







甲太郎
「乙さん、なんやそこの黒猫は?」
乙松
「これが福笑いちゃんの夫で、福太郎の父親のゴンベエやがな。下町に出稼ぎに行ってたんやけど、やっと帰ってきたんや」
甲太郎
「ほう、あどけない父親やなあ」

ゴンベエくん


 




2012年6月4日月曜日

「政治劇」の観客は

スカイツリーとお月さま
6月3日 墨田川にて















   きょう、野田総理が内閣改造を発表し、前田国交大臣、田中防衛大臣を交代させました。「機能強化」「適材適所」だとか空々しい言葉を記者会見でならべましたが、なんのことはない、2大臣を辞めさせなければ審議を拒否するという自民党に譲歩したもので、自民党と消費税増税法案の「修正協議」をすすめるための「環境整備」がねらいです。
   一方、野田政権が自民党にすり寄ればすり寄るほど、小沢グループとの溝が深まり、民主党分裂の危機をまねくという矛盾が…。

   先月、ある経済懇談会で参加者の方が、「テレビや新聞をみていると、野田、谷垣、小沢の三人で政治を動かしているみたいだ」といわれました。
   たしかにマスコミが連日、報道しているのは、三人の「政治劇」ばかり。しかも中身は「三角関係」とか「二股」とか、芸能ニュース以下の水準。
   しかし、政治を動かしているのは、ほんとうにあんな色黒三人組なのでしょうか。…

2012年5月31日木曜日

乱読のすすめ54-「テレビ型」政治家


朝まで生テレビ









   きのう、廊下で民主党のK参院議員と立ち話。
   「テレビの討論番組に出ることになったんだが、オレ、短くもの言うのが苦手なんだな。いやなんだな」と苦りきった顔でいいます。
   たしかに、テレビ討論は言いたいことを短くまとめないと聞いてもらえない。私が数回でたことのある「朝まで生テレビ」などは、ちょっと長いと、すぐ割り込まれたり、司会の田原総一朗氏が無視して次の人を指名したりします。
   Kさんは、元自民党で衆院議員も経験した古株。質問のときは自分のペースで悠長にしゃべり、なかなか味があります。ただ本人も自覚されているとおり、テレビには向かない。
   しかし、かといって、テレビのコメントがうまい、「テレビ型」政治家に中身があるとは限りません。

2012年5月29日火曜日

絵本のすすめ41-ウェズレーの国

ポール・フライシュマン あすなろ書房











   「あの子ったら、かわいそう。いつもひとりだけ、はみだしてるわ」
   おかあさんが、そういった。
   「たしかに、あの子はういてるな」
   おとうさんは、そういった。…

2012年5月25日金曜日

ギャンブル好きの議員たち

映画 「カジノ」














   ロバート・デニーロ主演の映画「カジノ」は、1970年代のラス・ヴェガスを舞台に、カジノ利権をめぐるマフィアの野蛮な抗争をえがいた衝撃作でした。
  たしかに、いまのラス・ヴェガスは、この映画のような血なまぐさい事件は少なく、華美な一大観光都市のイメージ。マフィアの姿も表立っては見えないかもしれない。しかし所詮、賭博場は賭博場です。マフィアがグループ企業化しただけで、表の顔と裏の顔があるのは昔とおなじ。賭博場が犯罪の温床、環境破壊、教育への悪影響など、問題視される存在であることに変わりはありません。
  ところが、そんな賭博場を、どうしてもどうしても日本につくりたいという国会議員がいるのは、いったいどうしたことか。

2012年5月23日水曜日

じじ放談9-逆転の発想やで


乙松(左)と甲太郎(右)
福笑いちゃんと福太郎ちゃん
   
   甲太郎
   「乙さん、なんやその子ネコは?」
   乙松
   「見たらわかるやろ。福笑いちゃんに男の子が生まれたんや」
   甲太郎
   「そら、おめでとーさん。そやけど、一匹だけかいな?」
   乙松
   「将来不安のせいか、ネコも少子化の時代や」
   甲太郎
   「ところで、名前はつけたんか?」
   乙松
   「福太郎ちゃんや」
   甲太郎
   「福太郎ちゃんのためにも、明るい日本を残してやりたいなー」

2012年5月21日月曜日

憲法変えて、「動く政治」に?

ルノワール 牛飼いの娘










   インドでは、「物事は牛のように進む」といわれます。軽挙妄動して走りまわるくらいなら、鈍重でも確実な一歩を踏み出した方がいいという国民意識でしょうか。
   もっとも、昨年、インドの国会では、与党の大規模な汚職が発覚し、野党のきびしい追及で国会が空転。法案の成立が例年の4分の1以下に落ち込み、規制緩和を期待していた市場関係者から、牛のごとく「動かない政治」だと揶揄(やゆ)されました。

   いま日本の政治も、「法案成立率」が低いことを理由に、マスコミなどから「動かない政治」と批判されています。ただし、なかにはスリカエの議論もあることにご注意。

2012年5月18日金曜日

絵本のすすめ40-草のオルガン


金曜日の砂糖ちゃん 
酒井駒子 偕成社















   有名な、酒井駒子さんの絵本「金曜日の砂糖ちゃん」には、もうひとつ、かわいくてちょっとせつないお話がおさめられています。「草のオルガン」です。

2012年5月15日火曜日

ガリ版刷りは味がある

日本謄写芸術院会員作品
山形謄写印刷資料館蔵











   先日、経済問題の懇談会で山形へ行ったとき、山形ガリ版印刷資料館の事務局長である後藤卓也さん(中央印刷・社長)とお会いしました。
   印刷の電子化にともない、消えてしまったガリ版印刷(謄写印刷)。昭和の香りがただようガリ版印刷の文化を永久保存しようと、後藤さんはお父様といっしょに私財を投じて資料館を設立されました。文化というものは後藤さんのような地域の方々の地道な努力があってはじめて伝承されていくのだと感激しました。

   とにかく、ガリ版刷りは味がある。昭和の文化をただ懐かしむのでなく、惜しむ気持ちにさせる、そういう技術だとおもいました。

鈴木藤吉 作品










   そういえば、戦前の反戦新聞「聳(そび)ゆるマスト」も、ガリ版のザラ紙刷りだったとのこと(「聳ゆるマスト」小栗勉、かもがわ出版)。

2012年5月11日金曜日

乱読のすすめ53-なんのための強制ですか、橋下さん
















   9日の私のブログをみて、大阪にいる友人が、橋下徹氏のとんでもない映像が「Youtube」で公開されていると知らせてくれました。

2012年5月9日水曜日

湯浅誠の挑戦

絵 金井英明










   今日、久しぶりに反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さんと会い、話をしました。新たな課題にチャレンジしようとする元気な姿をみて、ちょっと安心しました。

   じつは、4月13日付の朝日新聞(「耕論」)に掲載された、湯浅誠さんにたいする意地悪なインタビュー記事が気になっていたのです。

2012年5月6日日曜日

絵本のすすめ39-「綱渡りの男」













    高校生のころ、もっとも強い影響を受けた本は、大江健三郎さんの「厳粛な綱渡り」。戦後日本人の生き方やモラルについて深く考えさせられると同時に、タイトルの持つ冒険の香りに魅了され、万事、「綱渡り」気取りで、挑戦的な日々を過ごしたものでした。
  モーディカイ・ガーステイン作の絵本「綱渡りの男」(小峰書店)は、そういう若者の恐れを知らぬ冒険心をたんたんと描いています。ただし、綱渡りの場所は、ニューヨークの世界貿易センターのツインタワーでした。

2012年5月5日土曜日

じじ放談8―原発なんかいらんわい








   甲太郎
   「乙さん、とうとう日本の原発が全部止まったなあ」
   乙松
   「そや。42年ぶりのことらしい」
   甲太郎
   「このまま再稼働せんと、原発からの撤退を決断すべきやないか」
   乙松
   「ほんまや。可愛い福笑いちゃんに危ない未来を残すわけにはいかへん」

お昼寝中の福笑いちゃん