キアーラ・ロッサーニ作(西村書店) |
37才という若さで生涯をとじた天才画家ゴッホ(1853年~1890年)。ゴッホには、テオという仲のいい弟がいて、ふたりはたくさんの手紙のやりとりをしました。
絵本「ゴッホ 風がはこんだ色彩」は、残された手紙をもとに、兄弟の深い愛情ときずなを描いた物語です。
ゴッホは、自分の芸術にたいする考えや情熱、色にたいする思いを弟のテオに送りました。
『テオ、ぼくは画家になる!』
『兄さんは、ただ絵を描くことだけを考えてください。兄さんの絵は、ぼくがなんとかして売りますから』
『兄さん、いい絵とはどういう絵でしょうか?』
『偉大な画家の絵にはかけがえのない輝きがある。それは魂の輝きだ。それをぼくは描きたいんだ』
しかし、テオのささえも虚しく、ゴッホは心を病んでいきます。
『重くるしい空の下に、麦畑がひろがっている。ぼくの悲しみと、とてつもない孤独を描くのはそんなにむずかしいことではない』
…ポケットにつっこんだゴッホの手に、ピストルのつめたい金属の感触がつたわります。もう片方の手は、絵のつづきを描く筆がにぎられていました。
オクタヴィア・モナコの絵がゴッホに負けず鮮烈で、愛蔵版としてお薦めです。