2012年1月30日月曜日

乱読のすすめ42-歳月なんてものは

小泉今日子さん










   最近、映画でもテレビでも、小泉今日子さんが、不思議な女性を演じる、すごい女優さんになったとおもっていたら、演出家・久世光彦さんのエッセイ「歳月なんてものは」(幻戯書房)に、彼女のことが書かれていました。
   小泉今日子さんの演技が変わったのは、ある人の死がきっかけになったとのこと…。

2012年1月28日土曜日

たたかい終わって 日が暮れて

絵  鈴木周作











   去年、一番うれしかったことは、岩手県一関市に住む、上段(うえんだん)のり子さん(62歳)が息子さんの過労死自殺裁判に勝ったことです。

   のり子さんは、1999年3月、女手ひとつで育てあげた息子の勇士(ゆうじ)さん(当時23歳)を突然、失いました。

2012年1月26日木曜日

乱読のすすめ41-生きのびよ 獣にならず 生きて帰れ

南京大虐殺 記念館










     いかがなる理にことよせて 演習に 罪明からぬ 捕虜殺すとや

     古兵らは 深傷(ふかで)の老婆をやたら撃ち なお足らぬげに 井戸に投げ入る

     生きのびよ 獣にならず 生きて帰れ この酷きこと言い伝うべく

   『小さな抵抗-殺戮を拒んだ日本兵』(岩波現代文庫)は、戦時中、中国河北省で、中国人捕虜を訓練のために刺し殺す「殺人演習」を、キリスト教者として拒否した渡部良三さんの歌集です。

2012年1月24日火曜日

絵本のすすめ31-「木は いいなあ」















     1957年 コルデコット賞 受賞   シーモント 絵 ユードリイ 作

     こどもの頃、木とふれあった思い出がよみがえります。

2012年1月23日月曜日

乱読のすすめ40-知識人って、なに?

故 加藤周一さん













   学生時代、加藤周一さんの本と出会うまえは、「知識人」ということばが好きではありませんでした。特権階級的な響きもして、なにを偉そうにと、むしろ嫌悪していました。

2012年1月21日土曜日

絵本のすすめ30-「ハグ タイム」

パトリック・マクドネル あすなろ書房








 

       子猫のジュールは 世界のいきものを みんな抱きしめたいと 旅にでようとします。
       飼い主の女の子、ドージイがたずねました。「それで 世界が よくなるわけ?」

       私と同い年の米国イラストレーター、パトリック・マクドネルの作品。
       この絵本を読むと、だれにでも抱きつきたくなります。
       ためしに やってみましょう…


2012年1月19日木曜日

じじ放談3-居眠り議員を さらに増やす方法










   もしも、国会議員の比例定数が削減されたら…。
   20**年、ある日の国会風景。

   みんし党・甲議員
   「『国会議員は居眠りばっかりして、けしからん。寝てるくらいなら数を減らせ』とゆうから、じっさい減らしてみたんやけど、かえって居眠りしてる議員が多うなったなー」

2012年1月18日水曜日

乱読のすすめ39-「無駄」がぼくたちをつくった


    面白くて面白くて、新幹線が東京駅に到着したのも気づかず、読みつづけてしまったのが「『大発見』の思考法」(山中伸弥・益川敏英、文春新書)です。

    「切れた手足がまた生えてくる可能性がある」「自分に移植するための臓器を、体外で作れるようになるかもしれない」…再生医学の夢のような可能性を秘めた「iPS細胞」の生みの親、山中伸弥さん。
   世界一注目される科学者となった山中さんですが、日本の研究環境の劣悪さに、うつ状態になり、研究をやめようと考えたことも…。

2012年1月17日火曜日

絵本のすすめ29-「雪窓(ゆきまど)」

安房直子、作 山本孝、絵 偕成社














   先日、列車で札幌から函館、さらに津軽海峡トンネルをぬけて、青森から弘前へと移動しました。
   車窓をながれる真っ白な雪景色を眺めながら、思索にふけろうとすると、頭の中まで真っ白になってきて、そのうち眠ってしまいました。

  「雪窓」は、うたた寝の夢に出てきそうな幻想的なお話。

2012年1月16日月曜日

ファシズムは、そよ風のようにやってくる?

内橋克人さん

 








     「ファシズムは、そよ風のようにやってくる」という警句があります。知らず知らずのうちに、最初は心地よいものとして浸透していく…。ほんとうでしょうか?
   歴史をふりかえれば、ファシズムは、ある者たちによって周到に仕掛けられたものではあるが、事前に闘ってきた人びとによって察知され、世にたいしくり返し警鐘が鳴らされていたのではなかったか。

2012年1月14日土曜日

絵本のすすめ28-「夜空に星をくわえましょう」

クーパー・エデンズ ほるぷ出版 









       
           もしも暗闇がこわくなってしまったならば
           夜空にもうひとつ きらめく星を描きくわえましょう
     


2012年1月12日木曜日

映画のすすめ10-「灼熱の魂」

ドヴニ・ヴイルヌ―ヴ監督










   久々の衝撃作。驚きの映画です。

   報復が報復をうむ、怒りの連鎖…それが断ち切られるとき、出生をめぐる恐ろしい物語が明らかになる。

2012年1月10日火曜日

乱読のすすめ38-高峰秀子「わたしの渡世日記」

日本エッセイスト・クラブ賞受賞
新潮文庫











   今日は、なにをかくそう、わたしの誕生日です。
   < おめでとう~>
   ありがとうございます。妻からも何も貰えなかったので、皆さんのその一言に救われた気がします。

   歳を重ねるとは、どういうことなのか。さらさら生きるとは、どういうことなのか。
   女優、故・高峰秀子さんの自伝「わたしの渡世日記」を読んで、かんがえさせられました。
   文庫本、上・下巻770ページを一気に読んでしまうくらい、エッセイ文学としても傑作です。

2012年1月9日月曜日

じじ放談2- 応能負担は、一石二鳥やで




   ご隠居・甲太郎
   「おつとっと、乙さん、野田のドジョウが、消費税を10%に上げるそうやで」
   ご隠居・乙松
   「モノの値段が5%も上がったら、ワシら年金ぐらしはどうしたらええねん」
   甲太郎
   「しかも、消費税上げるんは、高齢者の社会保障に金がかかるからやと宣伝しとるで」
   乙松
   「長生きは罪なんか。戦後ずっと頑張ってきた年寄りにむごい仕打ちやな」
 

2012年1月8日日曜日

乱読のすすめ37-山田玲司「資本主義 卒業試験」

「資本主義卒業試験」    星海社新書







   谷間にたれこめた厚い雨雲のように、重苦しい閉塞感が日本全体をおおっています。
   雨が降るなら降れ。そのあとの青空を早く見せてくれ。

   しかし、この閉塞感も世代によって感じ方がちがう。生れたときから不況のなかにいる若者たちにとっては、希望をいだいて苦しむより、最初からあきらめたほうが楽だ…そういう厭世的な気分がつきまとっている気がします。

2012年1月7日土曜日

絵本のすすめ27-「おまえ うまそうだな」

作・絵 宮西達也 ポプラ社

 







  


   おなかをすかせた大恐竜ティラノサウルスが、生れたばかりのアンキロサウルスの赤ちゃんをみつけて、「ひひひ…おまえうまそうだな」とよだれをたらしますが、赤ちゃんにお父さんと間違われてしまい…。

2012年1月5日木曜日

乱読のすすめ36-池澤夏樹「春を恨んだりはしない」










   「本当に この穏やかな海が たくさんの人びとの命をうばったのか」
   去年の12月、岩手県宮古市の浄土ヶ浜で、きらきらと輝くしずかな海を眺めながら、そうおもいました。

   これだけ人間に酷い結果をもたらした自然というものをどう解釈したらいいのか…。
   作家の池澤夏樹さんは、「春を恨んだりはしない」(中央公論新社)のなかで、つぎのように語っています。

2012年1月3日火曜日

新春じじ放談―ずるいぞ大新聞




    ご隠居・甲太郎
   「おつとっと、乙さん、今年もよろしゅうたのんます。ところで、あんた何歳(いくつ)にならはったん?」
    ご隠居・乙松
   「ええっと、……忘れてしもた。甲さん、あんたは?」
   甲太郎
   「ワシはまだ、かぞえで二十歳(はたち)と五十や。延命装置つけてでも、年金できるだけもろたろかと思てんねん」
    乙松
   「そら立派な心がけや。年金減らされたら、長生きして元とるしかないわな」

   甲太郎
   「ところで元旦の各新聞の社説よんだか?もう、開いた口がふさがらんかったわ」