2012年7月5日木曜日

絵本のすすめ46-あのときすきになったよ

「あのときすきになったよ」(教育画劇)












   小学生のころ、学校でおもらしをして、まわりの子どもたちからいじめられたことはありませんか? 
   絵本「あのときすきになったよ」(作・薫くみこ、絵・飯野和好)は、おもらしばっかりして、みんなに「しっこ」という名まえにされちゃった「まりか」と「ゆいこ」の友情物語。

   さいしょはけんかしていたふたりですが、だんだんなかよしに。そして、「ゆいこ」がおもらしをしてしまったとき、「まりか」は花びんのみずをまきちらして、ばれないようにしてくれました…。















   この絵本を読むたび、小学二年生のときの思い出が鮮やかによみがえります。

   いまから50年ちかく前の京都市伏見区向島小学校。ある日の昼休み。
   午前中の最後の授業中におもらしをしてしまった「だいもん」くん。半ズボンの前はびっしょり濡れたまま。いまにも泣きそうな顔で校庭のブランコにすわっています。
   そのまわりを囲む、いじわるな男女数人。みんなで声をそろえて「だいもんの~しょんべんたれ」と、何度も何度もくり返します。ああ無情、小学二年生にして「だいもん」くんは、人間のダークサイドを垣間見てしまいました。

   ところが、そこに登場したのが同じクラスの「みわ・しんご」くん。坊っちゃん刈りの色の白い子で、けっして強いわけではないのに、「やめとけよ。かわいそうやないか」と、いじめっこたちの前の立ちはだかります。
   しかし、いじめっこたちにとっては新しい餌食が一人ふえただけ。「みわの~しょんべんたれ」と「だいもんの~」が交互に繰り返されることに。

…そのあとどうなったか記憶がさだかではありませんが、小学二年生なのにたった一人でいじめっこに立ち向かった「みわ・しんご」くんの勇姿は、いつまでも忘れられません。

   かれのような人格にどこまで近づけただろうか、いまでも、ときどき自問自答しています。