朝まで生テレビ |
きのう、廊下で民主党のK参院議員と立ち話。
「テレビの討論番組に出ることになったんだが、オレ、短くもの言うのが苦手なんだな。いやなんだな」と苦りきった顔でいいます。
たしかに、テレビ討論は言いたいことを短くまとめないと聞いてもらえない。私が数回でたことのある「朝まで生テレビ」などは、ちょっと長いと、すぐ割り込まれたり、司会の田原総一朗氏が無視して次の人を指名したりします。
Kさんは、元自民党で衆院議員も経験した古株。質問のときは自分のペースで悠長にしゃべり、なかなか味があります。ただ本人も自覚されているとおり、テレビには向かない。
しかし、かといって、テレビのコメントがうまい、「テレビ型」政治家に中身があるとは限りません。
しかし、かといって、テレビのコメントがうまい、「テレビ型」政治家に中身があるとは限りません。
ちくま新書の新刊「暴走する地方政治」(田村秀)を読んでいたら、橋下大阪市長や河村名古屋市長などの「改革派」首長の共通項は、①抵抗勢力を明確にする、②危機を煽る、③マスコミにたびたび登場する、④外部からの人材登用、の4点にあると指摘していました。
しかし、これらは目新しいことではなく、小泉純一郎元首相がすでにやったことばかりです。
とくに、テレビをつうじて短い言葉で国民にメッセージを送る「ワンフレーズ・ポリティクス」は有名。あの頃の小泉人気、国民の熱狂はテレビ・マスコミを利用してつくりだされたものでした。
結局、小泉「構造改革」がもたらしたものは社会保障の崩壊と貧困の拡大だけ。しかしテレビ・マスコミは、自分たちがそれに一役買ったことに決してふれようとはしません。
それどころか、父親のワンフレーズ・スタイルだけを継承する気味のわるい息子や同類の自治体首長を持ち上げて、おなじ過ちを繰り返そうとしています。
ちなみに小泉元首相に「ワンフレーズ・ポリティクス」を伝授したのは、某大手広告会社だったそうです。2001年、小泉氏が自民党総裁選に出るとき、その広告会社のトップから、「企業は15秒のコマーシャルの中でいろいろなことをいいたがるが、『ワン・コマーシャル』、『ワン・メッセージ』でないと消費者には伝わらない」という話を聞き、小泉氏は政治家もワン・メッセージで端的に話す「大切さ」を悟ったとか。たしかに、「自民党をぶっつぶす」「構造改革なくして景気回復なし」、すべて15秒以内のスローガンの羅列、しかも大ウソでした。
「テレビ型政治」が最も効果を発揮するのは、国民をだましたり、ごまかしたりするときかもしれません。