絵 金井英明 |
今日、久しぶりに反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さんと会い、話をしました。新たな課題にチャレンジしようとする元気な姿をみて、ちょっと安心しました。
じつは、4月13日付の朝日新聞(「耕論」)に掲載された、湯浅誠さんにたいする意地悪なインタビュー記事が気になっていたのです。
湯浅誠さんは、「年越し派遣村」村長から内閣参与に就任しましたが、今年3月に辞任。
そんな湯浅さんにたいし、「朝日」の女性記者がずけずけと質問をしています。
<記者>
政府で働くようになって、シュッとした服装になったのではないですか?
<湯浅>
そうですか?派遣村の頃に着ていたジャケットは肩のあたりがテカテカしてきたので、今はお休みさせています。
<記者>
参与を辞任したのは、民主党政権に見切りをつけたということですか?
<湯浅>
違います。そもそも全肯定できる政権も、全否定できる政権もない。だったらこちらが求める政策を実現すると政府が決めた場合は、その点に限って協力する。そういうスタンスでどの政権にも関わっていこうと…。
<記者>
あなたは、政権に取り込まれてしまったのではないですか?
<湯浅>
はい、よくそういわれます。しかし困っている人、明日死んでしまうかもしれない人を前にして、『いつか政権交代して今よりいい世の中になる。それまで待ってて』とは、私には言えません。こういう社会を目指す、という原則を持っていることは大事だし、政権批判も大いにやるべきです。しかし原則的な立場を堅持していれば原則が実現するわけではない。課題によっては調整や妥協をしながら取れるところは取っていく。そこは二正面作戦だと考えます。
政府や財界と一緒になって消費税増税の大キャンペーンを張っている朝日新聞なのに、エラそうな質問をするものだとおもいました。
民主的な活動家の中に、湯浅さんの内閣参与就任に批判的だった人たちがいたことは事実です。私自身も、記事にある湯浅さんの答えのすべてに賛同するものではありませんが、社会運動は、人びとのくらしをよくしたいと願うなら、その活動スタイルは色々あってもいいとおもっています。立場や考え方の違いを認めない運動に広がりはありません。これからも、湯浅誠は湯浅誠らしくやればいいのだとおもいます。
湯浅さんはインタビュー記事の最後に、「議会制民主主義には改善すべき点が多々ありますが、複雑なものを無理にシンプルにしよう。ガラガラポンにしてしまおうという欲求の高まりには危機感を覚えます」「橋下(大阪市長)さんが支持を集めているのは『決めてくれる人』だからで、その方向性は問われません。『おまかせ民主主義』の延長に橋下さんへの期待がある…」と、いま流行の「橋下徹現象」にたいし強い危惧をしめし、「社会運動に何ができるかを追求したい」と結んでいます。
がんばれ、湯浅誠。