2011年11月30日水曜日

映画のすすめ6ーカレン・シルクウッド事件

メリル・ストリ―プ主演
「シルクウッド」













    カレン・シルクウッド事件をご存知ですか?

   1974年に実際にあった、プルトニウムがキーワードの事件です。

  ※プルトニウム 
自然界にはない元素で、ウラン235の核分裂で作られる。猛毒性をもち、その半減期は2万数千年といわれる。

   カレン・シルクウッドは、アメリカ、オクラホマ州にある原子力関連企業カーマギー社のプルトニウム工場ではたらく化学技師であり、労働組合の活動家でもありました。
   ある日、カレンは放射能探知機に感知されたことをきっかけに、原子力委員会の資料を読みこみ、社内でプルトニウムの危険性をうったえるようになります。

   さらにカレンは、工場で多数の労働者がプルトニウム被爆にさらされていることにも気づき、証拠の収集に動きはじめます。

   会社にとって「危険分子」となったカレンは、数々の嫌がらせや原因不明のプルトニウム被爆を受けます。

   会社の不正や労働者の被爆の証拠をあつめたカレンは、ニューヨーク・タイムズの記者に事実の公表を託す決意をします。

   1974年11月13日、記者に証拠をわたすため、約束の場所にむかう途中、自動車事故によって、カレンは亡くなりました。28歳でした。

   警察は居眠り運転として処理しますが、彼女の体内からは大量の催眠薬が検出されます。
   記者に会いにいく前にどうして大量の睡眠薬を飲む必要があったのか、また記者にわたそうとした資料が発見されなかったことなど、数多くの疑惑が残り、当時、アメリカ各地では、「誰がカレンを殺したのか」というプラカードをかかげた、抗議デモがくりひろげられました。

 
   映画「シルクウッド」は、何年前だったか、渋谷か新宿のミニシアターで観た記憶があります。メリル・ストリープ主演とはいえ、重い社会派映画のせいか、一般上映されていませんでした。
   いまは原作の訳本も、絶版になっています。
   なにかの圧力でもあったのか、日本では、真実の物語が世の中の片隅に追いやられていたのです。