2011年11月5日土曜日

映画のすすめ5-最大の勇気












  おととい、ご紹介した「ぼくは13歳 職業、兵士」のなかのチャールズ君の話に、ショックをうけたというメールをいただきました。反政府軍のような残酷なことを、どうして人間はできるのか、と。 
  映画「シンドラーのリスト」のなかで、たくさんのユダヤ人の命を救ったシンドラーが、残虐なナチスの将校のことを、「戦争はつねに人間の最悪の部分を引き出す。平和な時なら、あいつも普通の男だ」と言うシーンがあります。

  人間のこころには、もともと、「最悪の部分」が潜在しているのでしょうか。

  アフリカ・ルワンダの悲劇をえがいた、実話にもとづく2つの映画があります。

  「ルワンダの涙」(監督、マイケル・ケイトン・ジョーンズ)
   1994年4月6日、フツ族出身の大統領が何者かによって暗殺されます。それをきっかけにフツ族によるツチ族の大虐殺が開始され、3カ月で100万人もの人々が惨殺されました。
ルワンダの公立技術専門学校は、虐殺を逃れ避難してきたツチ族の人びとであふれます。イギリス人の若い英語教師と学校を運営する神父は、必死に避難民を守ろうとします。しかし、世界はこの虐殺を黙殺。国連治安維持軍も、虐殺を防ごうとせず、とうとう撤退していきます。英語教師はやむなく帰国の途につきますが、神父は残って、最後まで虐殺者から人びとを救おうと…。

  「ホテル・ルワンダ」(監督、テリー・ジョージ)
  ホテル・ルワンダにも、大勢のツチ族の人びとが逃げ込んできます。妻がツチ族であるホテルの支配人は、家族と避難民を守るために、知恵と力を尽くし、ツチ族1200人の命を救いました。



  アフリカでも、虐殺の嵐が吹き荒れるなか、シンドラーやコルチャック先生のように、恐怖とたたかいながら、人間の尊厳をつらぬこうとした人びとがいました。

  戦争は人間の「最悪の部分」を顕在化させるのかもしれませんが、同時に、人間最大の勇気も引き出すのだとおもいました。