デューラー「自画像」 |
あなたは、この絵をご覧になって、なにを感じますか?
28歳の姜尚中(カン・サンジュン)さんは、自分が何者であり、何をなさねばならないかが見いだせず、悶々(もんもん)とした日々を送っていました。
「あなたは誰?私はここにいる」(集英社新書)。
そんなとき、このアルブレヒト・デューラーの「自画像」をみて、 「わたしはここにいる。おまえはどこに立っているのだ」と、問いかけられているようで、 それまでの心の迷いを打ち砕かれ、粛然とした気持ちになったといいます。
「あなたは誰?私はここにいる」(集英社新書)。
きのう、仙台から東京へ帰る新幹線の中で読んだ一冊です。
買って読んでもお金と時間の無駄になるだけの、中身のない「新書」が乱造されているなか、740円では申し訳ないと心から思わせるほど豊かな内容。ぜったい、おすすめです。
ただし、芸術は観る人それぞれの年齢や立ち位置によって、感じ方は変わります。
姜さんの解説やおもいを参照しながらも、個々の作品の受けとめ方は各自の自由。
ちなみに、55歳の私には、青年デューラーはなぜ、わざわざキリストに似せた姿でこの「自画像」を描いたのか。デューラー自身が、まだ心の迷いをふっ切る途中だったように見えます。