2011年12月13日火曜日

絵本のすすめ22-「川のうた」


絵、E.B.ルイス 光村教育図書










   米国の作家、ラングストン・ヒューズが18歳のときにかいた有名な詩「川のうた」をそのまま絵本にしたもの。E.B.ルイスの深みのある絵が、ヒューズの世界をそのまま私たちにぶつけてきます。

   絵本をこえた、芸術作品です。


      川のうた

   わたしは、たくさんの川を知っている

   世界のなりたちと同じくらい古く、人間の体を流れる血より深い川を。

   それで、わたしの魂も、川のように深くなったのだ。

   夜が明けそめるころ、わたしはユーフラテス川で水をあびた。

   コンゴ川のほとりに小屋を建てたときは、瀬音を子守唄にして眠った。

   ナイル川をながめ、川をみおろす地に大きなピラミッドを築いたこともある。

   ミシシッピ川が歌うのを聞いたのは、エイブ・リンカーンがニューオリンズに向かった時のこと。

   ミシシッピ川の濁った水が夕日をあびて金色に染まるのも、わたしは見てきた。

   わたしは、たくさんの川を知っている。

   大むかしからある、暗い色の川たちを。

   それで、わたしの魂も、川のように深くなったのだ。

ラングストン・ヒューズ  ( 訳、さくまゆみこ )
           
                                この絵本を公民権運動をになった英雄たちに捧げる
E.B.ルイス