2012年10月15日月曜日

乱読のすすめ67-ヒットラーのカナリヤ

  

   日本共産党は昨日、今日の二日間、第五回中央委員会総会(略称・「5中総」)を開きました。
   志位委員長は幹部会報告のなかで、いまの政治情勢の特徴は、「反動的逆流」VS「国民運動+日本共産党」のたたかいにあると指摘しました。
    「反動的逆流」とは、民主党の「自民党化」、タカ派安倍晋三を総裁に選んだ自民党のいっそうの右傾化、そして「改憲」突撃隊としての橋下「維新の会」、これら総体を指します。
   わかりやすくいえば、日本を戦争する国に変えるための政界の「タカ派、右寄り再編」が進行しようとしている、ファシズム的な潮流が強まっているということです。
  世界の歴史を振り返ると、ファシズムと最初に真っ向から闘ったのが共産党でした。
   現代日本においても、これら「タカ派、右寄り」勢力と正面対決できるのは、政党では日本共産党しかないでしょう。

 ところで、ちょうど「5中総」の休憩時間に読んでいたのが、デンマークの作家、サンディー・トクスヴィグの『ヒットラーのカナリア』(小峰書店)でした。

 『ヒットラーのカナリア』は、事実にもとづいた小説で、第二次世界大戦の最中、勇気あるデンマーク人たちによるユダヤ人救出劇を描いています。

  主人公の少年バムスが語ります。
   “ 1941年夏から1942年秋 コペンハーゲン。かれら(ナチスドイツ)は、共産主義を支持する全ての人や国に対して戦争を宣言した。デンマーク警察は、議会の議員をふくめた三百人のデンマーク人を共産党員だとして逮捕した。逮捕された人のなかにはユダヤ人もいたけど、ユダヤ人であることが理由ではなく、なによりも共産党員だったから、というのが理由だった。僕は、共産党がなんなのかはわからなかったけれど、自分が正しいと信じていることで逮捕されるというのは、デンマーク憲法に違反するということは学校で習ったから知っていた ”

 バムスの兄で、正義感の強いオーランドは、ナチスドイツに抵抗しようとしない父親たいし、激しく抗議します。
 “なんでパパは何もしないの?イギリス人に僕たちがなんといわれているか知ってる?ヒットラーのカナリヤだよ。…鳥かごにいれられて、ヒットラーのいわれるがままに歌を歌わされているって。
 パパはヒットラーのカナリヤでいいの?ヒットラーの好きなように操られて、誇りを捨てるなんて、僕にはできないよ ”

 おなじ過ちを繰り返さないためには、カナリヤにはならない人びとの輪をうんと広げることが、とても大事だとおもいました。