「コーランのなかで、神が、最初にムハンマドに言ったことは、
『読みなさい』ということでした」
「バスラの図書館員」は、実話にもとづく絵本です。
バスラはイラク最大の港町であり、文化的中心都市です。その町の図書館員であるアリア・ムハンマド・バクルさんは、本は黄金の山より価値があると信じています。そこには「私たちの歴史が全部つまっている」からです。
戦争の影が忍びよってくるのを感じて、バクルさんは政府に本を安全な場所にうつしてほしいと訴えますが、聞き入れてもらえませんでした。
2003年春、米軍の侵攻がバスラに迫るとき、バクルさんは、まちの人々の力をかりて、図書館から3万冊の本をはこびだします。図書館が爆撃で燃え落ちたのは、その9日後でした…。
バクルさんのいうように、本は人類の歴史と文化の足跡です。いっときの愚かな戦争で消失させてはならない。