2013年1月12日土曜日

乱読のすすめ73-反原発運動というものは

みすず書房














   今日は、札幌で原発問題の集会があり、私のほうから国会のうごきや海外の動向などふくめて情勢報告をしました。そのなかで、ご紹介したのが、ドイツの歴史家、ヨアヒム・ラートカウ博士の素晴らしい著書、「ドイツ反原発運動小史」です。
   東電福島第一原発事故をみて、ドイツは脱原発の方針を決定しました。17其ある原発のうち7其を即時停止、残りも2022年までに停止する計画です。
  しかしドイツも一直線に脱原発に進んできたわけではありません。途中、原発推進勢力の巻き返しが何度もありました。40年におよぶ運動の歴史があり、脱原発に関する国民的議論だけでも10年以上かけています。

 ラートカウ博士は本書のなかで、日本の反原発運動にたずさわる人々に次のようなメッセージをおくっています。
   「ドイツの経験は(運動の)息の長さが必要であることを示している。…チェルノブイリ事故のあとにも、ドイツの反原発運動の界隈に不満が広がったことがあった。『何をしようと無駄であり、ドイツでは何も変わらないのだ』と人々は感じたのであった。だが、この印象は間違っていた。現実には物事が動き始めていたのである。日本でも、ひとは忍耐強くなければならないだろう」
   「日本では1995年に起きた『もんじゅ』の事故以来、いくつもの抗議運動が存在してきた。…しかし、フクシマ以前には、これらの抗議運動は、大抵の場合、ローカルであり、相互の結びつきを欠いていたように見える。…国内的・国際的なネットワークこそが重要なのである。これがドイツの経験の核心である。いまや日本の原子力の批判者たちは、ひとりぼっちと感じる必要はない。…エネルギーシフトが新しいアクターを必要とすることに疑いの余地はない。そして、それは日本だけの話ではないのである」