映画 「ペーパームーン」」 |
映画に出てくる詐欺師は、どこか憎めないところがある。
映画「ペーパームーン」(1973年)は、聖書を売りつける詐欺師の男(ライアン・オニール)と、母親を交通事故で亡くした9歳の少女(テイタム・オニール)が、詐欺をしながら旅をつづけるうち、本物の親子のように絆を深めていく物語。 テイタム・オニール の名演技(アカデミー助演女優賞受賞)もあり、情感ただよう名作です。
また、映画「スティング」(1973年)は、詐欺で日銭を稼ぐ若者(ロバート・レッドフォード)と、伝説的詐欺師(ポール・ニューマン)が力をあわせ、宿敵のギャングを大がかりな詐欺で破滅に追い込んでいくストーリー。華麗なる手口に爽快感が残ります。
ところが、現実の詐欺師はなんと黒々とした存在なのか。とくに昨今、多発している金融がらみの詐欺は、被害が広範囲におよび手口も複雑で、その分、発覚したあとは、余計ドロドロとした欲望と卑しさを感じます。
その典型が、中小企業ではたらく労働者の年金を消失させたAIJ事件。しかもこの事件には、浅川社長などの「プレーヤー」だけでなく、「スポンサー」がいました。