2011年11月3日木曜日

乱読のすすめ17-「ぼくは13歳 職業、兵士」





   「ぼくは、お母さんの腕を切り落としました…」

  2000年のある日、アフリカ・ウガンダ北部の村で、ふつうに家族とくらしていた12歳のチャールズ君は、反政府軍の兵士たちに誘拐されます。
  その数日後、兵士たちはチャールズ君を村へ連れてきて、お母さんを「殺せ」と命じます。「いやだ」と抵抗するチャールズ君にたいし、兵士たちは鉈(なた)を持たせ、「それなら、片腕を切り落とせ。さもないと、お前もこの女も殺す」とおどしました…。

  恐ろしくて頭の中が真っ白になったチャールズ君は、お母さんも自分も命だけは助けてほしいと、鉈(なた)を…。
  チャールズ君はそのまま部隊へ連れて行かれ、3年間、兵士として人殺しを続けさせられました。

   「ぼくは13歳 職業、兵士」(合同出版)は、ウガンダでNGO活動にとりくんできた鬼丸昌也さん、小川真吾さんが、子ども兵の悲惨な現状をつたえ、「わたしたちにできることはなにか」を提起している本です。

  海外の子ども兵の問題は、ベールに包まれて、見えにくいところがあります。
  映像的には、ときおり、ドキュメンタリーも放映されますが、ぜひ観ていただきたいのが、映画「ブラッド・ダイヤモンド」(レオナルド・ディカプリオ主演)です。
   アフリカのシエラレオネ共和国で、武器調達の資金源として不法取引される“ブラッド・ダイヤモンド”をめぐるアクションストーリーですが、マリファナ茶を飲まされ、自分の家族さえ殺す殺人兵器に洗脳された子ども兵たちの衝撃的なすがたが描かれています。



   アフリカの地域紛争は、先進国の強欲と利害関係のなかで発生してきており、子ども兵の問題は先進国全体の責任として解決すべき課題です。
  とくに日本は、「武器輸出三原則」をもち、小型武器規制にも率先してとりくみ、アフリカの国々からも信頼をえてきています。
   現在、政府のなかで「武器輸出三原則」見直しの動きがでていますが、国際的信頼をみずから投げ捨てることだとわかってやっているのでしょうか。