2011年11月17日木曜日

乱読のすすめ22-井上ひさし「この人から受け継ぐもの」

岩波書店













   2010年4月9日、井上ひさしさんは永眠されました。

   「けっして裏切れないともだち」として、最後まで憲法9条にこだわった井上さん。
   かずかずの名言も残しました。

   一番有名なのは、「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく」

   しかし、 「ふかいことをおもしろく」はなかなかむずかしい。たとえば、井上さんは、若い女性の存在不条理さを、つぎのように表現します…

    「むすめさんの一番いけないところは、ねずみにもキャッと悲鳴をあげるくせに、オオカミには笑いかけたりすることなんですよ」

   「この人から受け継ぐもの」(岩波書店)には、井上ひさしさんの選りすぐりの講演録とエッセイがおさめられています。
   憲法、ユートピア、戦争責任、ユーモア…あらためて、偉大で気さくな国民的作家の真髄に触れることができました。