2013年5月20日月曜日

絵本のすすめ62ーともだち













 
   今朝、東北新幹線で、『岩手日報』を読んでいたら、2011年3月11日、岩手県大船渡市で津波にのまれ行方不明になった東京都出身、北里大学海洋生命科学部三陸キャンパスの学生・瀬尾佳苗さん(当時20歳)と、同級生の話が載っていました。
   “…瀬尾さんの同級生5人は19日、瀬尾さんのアパート跡を訪れ、花を手向けた。「絶対忘れないからな」。大切な友に変わらぬ友情を約束した”。

   避難中の車椅子のおばあさんに手を貸しているのが目撃された瀬尾さんの最後の姿でした。

   瀬尾さんの同級生だった澤田卓也さん(22)、斉藤圭祐さん(22)、中里翔さん(22)、斉藤博さん(23)、鈴木崇史さん(22)。東大大学院に進学した鈴木さんをのぞく4人は、大船渡の人や生活が大好きで、同市での就職を選びました。

   瀬尾さんと友情の厚かった5人。いつも誰かが魚を釣り、誰かの家に集まって食べ、夜中まで語り合ったそうです。瀬尾さんはみんなから「姉さん」「瀬尾ねえ」と慕われていました。

 大震災当日、瀬尾さんに笑顔で「じゃあね」と言われたのが本当の別れの言葉になってしまいました。

 瀬尾さんが住んでいたアパート跡は、現在、更地になり、クローバーが生い茂っています。
  集まった5人は瀬尾さんに声をかけました。「戻って来たぞ、一人じゃないからな」。

  絵本「ともだち」(詩/谷川俊太郎、絵/和田誠)より

  ともだちって かぜがうつっても へいきだって いってくれるひと
  ともだちって いっしょに かえりたくなるひと
  ともだちって みんながいっちゃったあとも まっててくれるひと
  だれだって ひとりぼっちでは いきてゆけない