![]() |
映画「わたしを離さないで」 主演 キャリー・マリガン |
昨日、仙台から帰る新幹線の中で、カズオ・イシグロの小説『わたしを離さないで』(ハヤカワ文庫)を読みました。
臓器移植と倫理の問題を問いかけた衝撃作。ときどきメールをいただく東京のUさんのお薦めです。
臓器移植と倫理の問題を問いかけた衝撃作。ときどきメールをいただく東京のUさんのお薦めです。
イギリスの片田舎にある寄宿学校「ヘールシャム」では、臓器提供のために集められた「ドナー・チャイルド」たちが、外界から遮断された共同生活を送っていました。…
※「ドナー・チャイルド」
骨髄や臓器の移植が必要な病気に冒されている兄や姉に骨髄、臓器を提供するために、遺伝子操作を施し人工授精によってうまれた弟や妹のこと。大きな倫理問題をはらんでいる。
『わたしを離さないで』は、「ドナー・チャイルド」が社会的につくられ、社会的に「提供」されるという「架空世界」を描いています。
『わたしを離さないで』は、「ドナー・チャイルド」が社会的につくられ、社会的に「提供」されるという「架空世界」を描いています。
カズオ・イシグロの小説は初めて読みましたが、物語の構成と展開に凄みがあります。
また映画にもなったとのことで、DVDも観ました。原作に負けず、哲学的な余韻を残した秀作です。
寄宿学校の先生が生徒(ドナー・チャイルド)につぎのように語るところがあります。
「次から次へと科学上の大発見がありました。…突然、目の前にさまざまな可能性が出現し、それまで不治とされていた病にも治癒の希望が出てきました。…でもそういう治療に使われる臓器はどこから?真空に育ち、無から生まれる…と人々は信じた、信じたがったわけです。…世間があなた方生徒たちのことを気にかけはじめ、どう育てられているのか、そもそもこの世に生み出されるべきだったのかどうかを考えるようになったときは、もう遅すぎました。…あなた方の存在を知って少しは気がとがめても、それよりは自分の子どもが、配偶者が、親が、死なないことのほうが大事なのです」
自分の意思とは無関係に「運命」を受けいれる子どもたち。しかし、成長するにつれ、時おり癇癪(かんしゃく)を起こしたり涙を流したりします。その静かな叫びが、生命科学の急速な発達にたいする人間倫理の葛藤を象徴しているようにおもいました。
![]() |
映画「私の中のあなた」 母親役がキャメロン・ディアス |
同じく「ドナー・チャイルド」をテーマにした映画に、キャメロン・ディアス主演の『私の中のあなた』があります。
少女アナは、白血病の姉のドナーになるべく遺伝子操作でつくられた「ドナー・チャイルド」。
誕生まもないころから、臍帯血、白血球、骨髄など、さまざまな身体の組織を提供させられてきました。あるときアナは、これ以上の提供はいやと拒否しますが…。
こちらも生命と家族について考えさせられる良質な作品です。
誕生まもないころから、臍帯血、白血球、骨髄など、さまざまな身体の組織を提供させられてきました。あるときアナは、これ以上の提供はいやと拒否しますが…。
こちらも生命と家族について考えさせられる良質な作品です。