2012年6月27日水曜日

天に声あり、人をして語らしむ











   朝日新聞のコラム「天声人語」は、かつては名文が多く大学入試によく出題されるとのことで、受験生の頃よく読んだものでした。
   天声人語の意味は、「天に声あり、人をして語らしむ」とのこと。しかし最近は、ほんとうに「天の声」なのか、ただの大新聞の独善ではないのかと、首くびを傾(かし)げることが多い。

   昨日、消費税増税法案等が衆議院で可決。一夜あけた今朝の朝日新聞の一面はひどい。

   まず、「天声人語」の上に 論説主幹代理のHさんの「政治解説」。ここでは、野田総理が自民党、公明党と手を握り、「決められない政治を脱して、18年ぶりに消費税増税の成果をあげた」と評価。民主党が公約に違反して、増税に突き進んだことについては、「国民に説明する努力が足りない」と叱咤するだけ。

   そして下段の「天声人語」では、民主党に造反者が出たことにふれながら、「ともあれ、増税は実現にうごきだした」「負担感の大きい所得階層の救済策が欠かせない」などとのべ、「内輪もめのときではない」「与野党でつめる課題は多い」と先を急がせる。

   いかにも民意を代表するかのような態度で、政治をほめたり、叱ったり。しかし民意の多数は消費税増税反対。 それを無視し、いっかんして増税キャンペーンを張ってきた大新聞の一つが「朝日」ではなかったのか。いまや「朝日」にとって、「天の声」とはなんなのか。

   受験生の頃、「天声人語」を切りぬきながら、その反骨精神がカッコよくて、新聞記者になりたいとおもったこともありました。それだけに、昨今の中身は残念。

   すこしは気がひけるのか、「天声人語」の最後は、「内閣支持率は20%台、過半の有権者はとっくに青票(反対票)を握りしめている。恐れるべきは、民の造反である」と結んでいます。
   「民の造反」は、自公民の談合政治だけでなく、大政翼賛会化した大新聞にも向けられていることを知るべきでしょう。