2012年5月25日金曜日

ギャンブル好きの議員たち

映画 「カジノ」














   ロバート・デニーロ主演の映画「カジノ」は、1970年代のラス・ヴェガスを舞台に、カジノ利権をめぐるマフィアの野蛮な抗争をえがいた衝撃作でした。
  たしかに、いまのラス・ヴェガスは、この映画のような血なまぐさい事件は少なく、華美な一大観光都市のイメージ。マフィアの姿も表立っては見えないかもしれない。しかし所詮、賭博場は賭博場です。マフィアがグループ企業化しただけで、表の顔と裏の顔があるのは昔とおなじ。賭博場が犯罪の温床、環境破壊、教育への悪影響など、問題視される存在であることに変わりはありません。
  ところが、そんな賭博場を、どうしてもどうしても日本につくりたいという国会議員がいるのは、いったいどうしたことか。

   5月24日、自民党は、カジノ導入に向けた推進法案をまとめました。国や自治体がカジノを運営する事業者から納付金を徴収して、大規模災害の復興費用に充てることができるようにし、東日本大震災の復興対策と位置付けるとのこと。超党派による議員立法で今国会提出を目指すとしています。
   昨年の臨時国会では、民主党主導でおなじく被災地復興を名目とした「カジノ推進法」(民主、自民、公明の議員立法)を提出しようとしましたが、被災地から「カジノよりまっすぐ復興支援を」と怒りの声があがり、私も国会できびしく追及。結局、臨時国会中の提出を断念させました(昨年12月の本ブログ「カジノ解禁-被災地にしのびよる魔の手」参照)。
  そのとき私の質問にたいし、野田首相が「自分の政権でカジノ解禁は考えていない」と答弁したので、今度は民主党でなく自民党サイドから声をあげる戦術に変えたのかもしれません。

   なぜ自民党も賭博解禁に熱心なのか。じつは賭博場誘致構想は東京、大阪、神奈川だけでなく、新潟、和歌山、宮崎、沖縄などなど、全国各地で持ち上がっており(仕掛け人が存在)、それぞれ地元の観光業界、建設業界などが乗り気で、その声を自民党議員が代弁しているのです。
   さらには、石原都知事、森田千葉県知事、橋下大阪市長など、賭博場建設に熱心な自治体首長も存在します。
   橋下市長などは、24日の記者会見で、「増税は必要だが、消費税や所得税ではなく、カジノで楽しんでもらって金を吸い上げればいい。本当にうまく使えば、観光や集客だけでなく、所得再分配機能として有力なツールだと考える。カジノで遊んで一定の金額を行政が確保すれば、低中所得者に回すことができる」(読売)と、またまた問題のすり替えで、賭博を正当化しています。

   ただ民主党内では、カジノ解禁に反対論が出始めているとか。ある反対派の民主党議員が私にいいました。「こんなこと(カジノ解禁)まで、自民党といっしょにやったら、笑いものだ。だいたい推進派議員は、自分自身がギャンブル好きだから、抵抗感がないんだよ」