2012年7月17日火曜日

乱読のすすめ57-君たちはどう生きるか

京都 大原三千院 わらべ地蔵










   野田総理は原発再稼働、消費税増税など国民の嫌がることを決めて、それが「決められる政治」だと自分に酔いしれており、ちょっと病的です。
  自民党の谷垣さんも人びとのくらしより自民党の復権に躍起。しかし政治屋のボスにはむかず、ケンカと握手のタイミングがわからなくなって支離滅裂状態。
   野田さんも、谷垣さんも財務大臣経験者。委員会でなんども議論したので性格はよく知っています。お二人とも実直な方でしたが、最近はどうもおかしい。もう少し落ち着いて自分を見つめてもらいたい。

   そんなお二人に読んでほしいのが、高校生のときに読んだ吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」です。

   主人公は15歳のコペル君。聡明で真っ直ぐな少年。コぺル君は自分の頭で考え、人のためになると信じて行動します。もちろん、まだ中学生ですから、心をかき乱され悩むこともたくさんあります。 父親を亡くしたコペル君にとって、父親的な存在であるのが叔父さん。叔父さんは、コペル君を大切に見守り、導きます。

鈴木周作 夏の札幌大通公園














   叔父さんのノートには、コぺル君への言葉が記されています。
   「世間には、他人の眼に立派に見えるように、見えるようにと振舞っている人が、ずいぶんある。そういう人は、自分がひとの眼にどう映るかということを一番気にするようになって、本当の自分、ありのままの自分がどんなものかということを、つい、お留守にしてしまうものだ、僕は、君にそんな人になってもらいたくないと思う」
   「僕たちも、人間であるからには、たとえ貧しくともそのために自分をつまらない人間と考えたりしないように、また、たとえ豊かな暮らしをしたからといって、それで自分を何か偉いもののように考えたりしないように、いつでも、自分の人間としての値打にしっかりと目をつけて生きてゆかなければいけない」

   叔父さんがいちばん嫌ったのは、人のためといって、じつは自分のためにはたらく人たちでした。