2012年10月2日火曜日

絵本のすすめ54-ジャスミンはけむりのなかで












   ぼく、ダニエル。まどのそとで、じんじられないことがおきたんだ。
   まちが、とつぜん戦場みたいになっちゃった。人びとがお店におしいり、いろんなものをぬすんでいく。むかいのキムさんの店もこわされた。
   いったい、みんなどうしちゃったの?












   かあさんはいう。
   「人はね、あんまりはらがたつと、どうしようもなく、なにかをぶつけたり、こわしたくなるだろ。ところがそうやっているうちに、なにが正しくてなにがまちがっているのかなんて、どうでもよくなってくるのさ。しまいには、こんなぼうどうなんてことを、おこしちまうんだよ」

   アパートの下では、手あたりしだいにものがこわされていく。
   店のウインドウも、くるまもがいろとうも。
   「ほんと、みんなおこっているみたいだ。でも、なんか、たのしそうにもみえるよ」












   怒りと憎しみが爆発した町で、少年がねこのジャスミンを見て気がついた「和解」のすがたとは…。
   「スモーキーナイト ジャスミンはけむりのなかで」は、アイルランド生まれの「社会派」児童作家イブ・バンティングの作品。
   絵は大胆かつ独特の様式で高い評価を受けてきたディヴィツド・ディアス。
   1995年のコルデコット賞受賞作です。