2011年8月15日月曜日

乱読のすすめ2-ひろさちや「世逃げのすすめ」




   どんな事態に追いこまれても、絶対に死ぬことはない、高利をむさぼるサラ金の取り立てなんか開き直って追いかえせばいい、ヤミ金なんか警察に逮捕させればいい―数年前の貸金業法改正のとき、借金をかかえこみ今にもポキッと折れてしまいそうな債務者の方々とお会いしたとき、そういって激励したものでした。
とにかく、みずから死を選ぶような理由など、この世にはないのだと。


  サラ金問題以外の経済的理由で、自殺をはかる人も後を絶ちません。
自分はこの世のに生まれてきた価値がないとおもってしまう若い人たちも増えている。

  仏教学者ひろさちやさんの「世逃げのすすめ」(集英社新書)は、そもそも世の中のモノサシのほうが狂っている。人間を商品価値だけで測る世間のほうがおかしいのであって、あなたはおかしくないのだ。そんな世間から、すたこらさっさと「世逃げ」しましょうーと語りかけます。

  まじめな人ほど、わるいのは世間でなく自分なのだと考えます。自己責任論を説く、政府の思うつぼです。

   追いこまれていると感じたら、まずこんな世の中いつでも「世逃げ」してやるという開きなおりの気持ちをもって、それからできれば、おかしいのが世の中のほうだったら、そんな世の中、変えてやろうとおもってほしいなと。見渡せば、同じおもいの仲間はいるものです。